やすだに暮らす/暮らす人々の横顔

農業/釣り名人
有岡只祐さん

県外の人や、一つ違う目線でみれば
安田川の鮎はすごく魅力のあるものに映りますよ。

安田町に住む有岡只祐さんは実家の農業で働きながら、釣具メーカと契約し、竿や道具作りの開発をしています。それと同時に全国で行われる鮎釣り大会に参加、師匠はテレビで有名な村田満さん。有岡さんは「THEフィッシング」などテレビ番組の出演や、雑誌「つり人」や携帯電話釣りサイト「釣りキング」でレギュラーエッセイを書くなど、鮎釣りの世界では有名人。とはいえ、釣りの世界だけでなく仕事である農業を大事にし、安田への思いがあり、とてもしっかりした30代の男性です。
有岡さんが釣りを始めたのは10歳の頃から。「近所の友だちは皆鮎釣りをしていたし、それしかすることもなかった」そうで、それからは鮎釣りがライフワークに。年を重ねることに安田川だけでなく、違う川、違う県で釣りをするようになります。そしてトーナメントへの参加。今から7年前、ダイワ鮎2002全国大会で3位入賞を果たすなど、鮎釣りの若手のホープとして注目株となります。それ以後もトーナメントに参加して優秀な成績を収めているし、釣り具メーカーの業界トップDAIWAと契約をして6年、展示会や講演会などもあります。しかし有岡さんには「鮎釣りはあくまでも趣味で、本業は農業」という強い気持ちがあります。
「鮎釣りだけでは生活は出来ませんし、今は家族の支えがあってやれていることです。では何でこんなに必死でやるかといえば、僕の作るナスを消費者に知ってもらいたいんです。鮎釣りで名前を覚えてもらって趣味以上に仕事で有名になりたいですね。この前県外で『有岡さん、ナス買いましたよ』と声をかけられ嬉しかったです」。
有岡さんにとって安田川はどんな存在だろう。 「やっぱりきれいな川ですよ。それだけ、あとは何もない(笑)。都会の川でも釣りますが、そこへ行くまでにビルや何やら建っていて、鮎という雰囲気ではないですね。やっぱり田舎は田舎の良さがあり、鮎釣りの雰囲気にはあいますね」。
釣りに関する仕事で東京へ出張にいっても、時間があればナスを持って営業もするという有岡さん。安田川の鮎の質の良さを知っているだけに「安田川の鮎料理や、鮎に関することにもっと力をいれたら活性化するのに。地元の人は鮎が当たり前と思っているけど、県外の人の目線や、一つ違う目線で見たら凄く魅力あるものに映ると思います。」と締めてくれました。安田で暮らす鮎名人ですが、本業の農業も一生懸命、県外目線で安田のことを見ることができる人物でした。

  • 毎月25日に発売される「つり人」(株式会社つり人社刊、980円)にもエッセイなどを書いている有岡只祐さん。